老犬の夜泣きが増えた原因と対策|認知症・痛みのサインの見分け方

愛犬が高齢になってから、夜中に突然鳴き出すようになった、明け方に何度も起こされるようになった——そんな変化に戸惑っている飼い主さんは少なくありません。
老犬の夜泣きには、認知機能の低下(認知症)や視力・聴力の衰え、関節の痛みなど、加齢にともなうさまざまな原因が関わっている可能性があります。原因によって家庭でできる対策も変わってくるため、まずはどのような原因が考えられるかを知ることが夜泣き対策の第一歩です。
この記事では、老犬(シニア犬)特有の夜泣きの主な原因、認知症のサインの見極め方、今日からできる生活環境の対策、そして動物病院に相談すべきタイミングについて解説します。気になる症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、必ずかかりつけの動物病院に相談してください。
老犬の夜泣きが増える主な原因
シニア期の夜泣きには、体と心の両方に関わる複数の原因が重なっていることが多いといわれています。代表的な原因を一つずつ見ていきましょう。
認知機能の低下(認知症)
加齢にともなって脳の働きが衰える「認知機能不全症候群」は、老犬の夜泣きの原因としてよく挙げられるものの一つです。見当識障害や昼夜逆転などの症状が現れ、夜間に鳴いたり歩き回ったりする様子が見られることがあります。
認知機能の低下による夜泣きかどうかは見た目だけでは判断しづらく、他の病気が背景にあるケースもあります。具体的なサインの見極め方は次の見出しで詳しく解説します。
視力・聴力など感覚機能の低下による不安
老犬になると白内障などで視力が低下したり、耳が遠くなったりすることがあります。周囲の状況がつかみにくくなることで、暗い部屋の中で不安を感じやすくなっている可能性があります。
特に夜間は部屋が暗く物音も少ないため、日中よりも感覚機能の低下による不安を感じやすい時間帯といえます。飼い主の気配を確かめようと鳴いたり、寝床の周りをうろうろしたりする様子が見られることもあります。
関節炎などの痛み・不快感
関節炎や椎間板の異常など、体のどこかに痛みや不快感を抱えていることが夜泣きにつながっている可能性もあります。楽な体勢を見つけられず、寝返りのたびに鳴いてしまうケースも珍しくありません。
また、内臓の不調による不快感や、皮膚のかゆみといった目に見えにくい症状が隠れていることもあります。歩き方がぎこちない、触ると嫌がる部位があるといったサインがあれば、動物病院で相談してみましょう。
生活リズムの乱れ・分離不安の悪化
老犬になると日中の活動量が減り、うたた寝をする時間が長くなりがちです。その結果、昼間に眠りすぎて夜に体力が有り余り、生活リズムが乱れて夜間に鳴いてしまうことがあります。
加えて、感覚機能や認知機能の低下によって飼い主への依存度が高まり、もともとあった分離不安が悪化しているケースもあります。飼い主の姿が見えなくなると鳴き出す場合は、こうした不安の高まりも一因かもしれません。
認知症(認知機能不全症候群)のサインを見極める
老犬の夜泣きの中でも特に多いとされるのが、認知機能の低下によるものです。夜泣き以外にどのような変化が見られるか、代表的なサインを確認してみましょう。
気になる変化をチェックしてみましょう
認知機能の低下によるサインは、見当識・交流・睡眠サイクル・不安・学習記憶・活動性など、いくつかの側面から現れるといわれています。当てはまる項目がないか確認してみてください。
| 変化のタイプ | 具体的なサインの例 |
|---|---|
| 見当識障害 | 慣れた部屋で迷う、壁や部屋の隅をぼんやり見つめ続ける |
| 交流の変化 | 名前を呼んでも反応が鈍くなる、あるいは過度に飼い主にくっつきたがる |
| 睡眠サイクルの変化 | 昼間に眠っている時間が増え、夜間に起きて鳴いたり歩き回ったりする |
| 不安の増加 | 一人になると落ち着かない、理由がはっきりしないまま鳴き続ける |
| 学習・記憶力の低下 | 今まで覚えていたことを忘れる、トイレの失敗が増える |
| 活動性の変化 | 部屋の中を目的もなくぐるぐる歩き回る、同じ場所で回転し続ける |
気になるサインがあれば自己判断せず動物病院へ
上記のようなサインに複数当てはまる場合、認知機能の低下が関わっている可能性はありますが、これだけで「認知症です」と断定することはできません。似たような症状が別の病気からきていることもあるためです。
気になる変化に気づいたら、いつ頃からどのような様子が見られるかをメモや動画で記録しておき、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。早めに相談することで、生活環境の工夫や獣医師の指導のもとでの対応など、選べる対策の幅が広がります。
今日からできる夜泣き対策|生活環境を整える
老犬の夜泣きは、生活環境をシニア犬に合わせて見直すことで軽減が期待できる場合があります。今日から取り入れやすい工夫を紹介します。
夜間の照明を工夫する
視力が低下している老犬にとって、真っ暗な部屋は不安を感じやすい環境です。常夜灯やほのかな明るさのライトをつけておくと、周囲の様子が把握しやすくなり、落ち着いて眠れるようになるケースがあります。
寝床から水飲み場やトイレまでの動線に、家具の角や段差がないかもあわせて確認しておくと、夜間に動き回るときの不安やケガの防止につながります。
トイレ環境を見直す
老犬になると排泄のコントロールが難しくなり、トイレに間に合わず鳴いて知らせようとすることがあります。寝床の近くにトイレシーツを増やして設置しておくと、間に合わないストレスを減らせる場合があります。
足腰が弱っている場合は、トイレまでの移動距離が短くなるよう配置を見直すことも大切です。滑りやすい床にはマットを敷くなど、足元の安全にも配慮しましょう。
寝床を見直す
関節や体への負担を減らすため、体圧を分散しやすい低反発素材など、クッション性のある寝具に見直すのもおすすめです。冬場は保温性、夏場は通気性にも配慮すると、体温調節が苦手になった老犬でも快適に過ごしやすくなります。
寝床の場所を、飼い主の気配を感じやすい寝室の近くに移すことで、不安による夜泣きが落ち着くケースもあります。生活スタイルに合わせて、負担のない範囲で試してみてください。
日中の過ごし方を見直して生活リズムを整える
夜泣きの背景に生活リズムの乱れがある場合、日中の過ごし方を工夫することで夜間の睡眠につなげやすくなります。無理のない範囲で取り入れてみましょう。
無理のない範囲で散歩・運動を続ける
足腰への負担がない範囲で、短時間でも日中の散歩を続けることは、適度な疲労感を得るうえで役立つといわれています。体力や関節の状態に合わせて、時間や距離を調整しましょう。
歩くこと自体が難しくなってきた場合は、抱っこでの外出や室内での軽いふれあいの時間を設けるだけでも、気分転換になり生活リズムを整える助けになります。
日光浴や適度な刺激で昼夜のメリハリをつける
日中に日光を浴びる時間をつくることは、体内時計を整えるうえで役立つと考えられています。窓辺で日向ぼっこをさせたり、天気のよい日はベランダで過ごしたりするだけでも変化になります。
知育玩具やゆっくり撫でるスキンシップの時間など、体に負担の少ない刺激を日中に取り入れることも、昼寝ばかりの生活リズムを見直すきっかけになります。
痛みや不快感が疑われるときのケア
夜泣きの背景に痛みや不快感が疑われる場合は、生活環境の工夫に加えて、体のケアも考えていきたいポイントです。
関節炎などによる痛みのサイン
階段や段差を避けるようになった、立ち上がるときに時間がかかる、触られるのを嫌がる部位があるといった様子は、関節炎など体の痛みのサインかもしれません。夜間に体勢を変えるたびに鳴くような場合も、痛みが関係している可能性があります。
痛みの有無や程度は見た目だけで判断するのが難しいため、気になる様子があれば動物病院で診てもらうことをおすすめします。
関節ケア用品・サプリメントを取り入れる
出典:公式サイト
関節への負担が気になる老犬には、グルコサミンやコンドロイチン、緑イ貝などを配合した関節ケア用のサプリメントを毎日のケアに取り入れる方法もあります。「このこのおやつじゅれ」は低アレルゲンの鹿肉をベースにしたジュレタイプで、錠剤が苦手な老犬でも食べやすいのが特徴です。
サプリメントはあくまで健康維持をサポートするものであり、痛みを取り除く治療効果を保証するものではありません。歩き方の異常や痛みのサインが見られる場合は、サプリだけに頼らず動物病院に相談しましょう。
老犬の介護グッズ・サプリメントを活用する
夜泣きが続く時期は、生活環境の工夫に加えて介護グッズやサプリメントを取り入れることで、飼い主・愛犬双方の負担を軽減できる場合があります。
夜間の見守り・介護に役立つグッズ
足腰が弱った老犬には、体圧を分散するクッション性の高い介護用マットや、粗相をしても洗いやすい防水シーツが役立ちます。おむつやマナーウェアを取り入れると、夜間のトイレの失敗によるストレスを減らせることもあります。
ペット用の見守りカメラを寝床の近くに設置しておくと、離れた部屋からでも夜間の様子を確認でき、鳴いている原因(痛そうにしている、動き回っているなど)を把握しやすくなります。
防音ペットケージで夜間の安心スペースをつくる

出典:Bow & Co.公式サイト
夜泣きで近隣や家族への音が気になる場合は、防音性のあるペットケージを寝床として取り入れるのも一つの方法です。愛犬にとって安心できる落ち着いた空間になり、夜間の音の広がりを抑える効果も期待できます。
防音犬ケージ・犬小屋の効果や選び方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

シニア犬向けサプリメントで日々の健康維持をサポート
出典:公式サイト
シニア犬向けに設計されたサプリメントを、毎日の食事にプラスして取り入れている飼い主さんも増えています。「amure(アミュレ)」のように、加齢が気になり始めた犬向けの健康維持をサポートする製品もあるので、フード選びと合わせて検討してみるのも一つの方法です。
繰り返しになりますが、サプリメントは日々の健康維持をサポートするためのものです。夜泣きの症状そのものを改善する効果を保証するものではないため、症状が続く場合は自己判断で頼りすぎず、動物病院での相談を優先してください。
動物病院に相談すべきタイミング
生活環境を工夫しても夜泣きが続く場合や、他に気になる症状がある場合は、早めに動物病院へ相談することが大切です。
早めの受診がすすめられるサイン
- 夜泣きが毎晩のように続き、飼い主も愛犬も睡眠不足になっている
- 痛がる様子(触ると鳴く、体を丸めるなど)がある
- 食欲不振や嘔吐、下痢など他の体調不良をともなっている
- トイレの失敗や徘徊など、認知機能の低下が疑われるサインが急に増えた
- 短期間で夜泣きの頻度や鳴き方が大きく変化した
これらに当てはまる場合は、様子見を続けずに早めにかかりつけの動物病院に相談してください。年齢を理由に「仕方がない」と考えず、体の痛みや病気が隠れていないか確認しておくと安心です。
受診時に伝えておきたいポイント
限られた診察時間で状況を正確に伝えられるよう、事前に情報を整理しておくとスムーズです。
- 夜泣きが始まった時期・きっかけ
- 鳴く頻度・時間帯・鳴き方の変化
- 視力・聴力に関して気になった変化
- 普段の食欲・飲水量・排泄の様子
- 可能であれば夜間の様子を撮影した動画
老犬は加齢とともに通院や検査の回数が増えやすく、医療費が気になるという声も多く聞かれます。
よくある質問
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老犬に限らない一般的な夜泣きの原因や犬が吠える理由、老犬の散歩との付き合い方についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。



まとめ
老犬の夜泣きは、認知機能の低下や視力・聴力の衰え、関節炎などの痛み、生活リズムの乱れや分離不安の悪化など、複数の原因が絡み合って起こっている可能性があります。まずはどのような原因が考えられるかを整理し、夜間の照明やトイレ環境、寝床の見直しなど、無理のない範囲で対策を試してみましょう。
筆者の家でも、長年一緒に過ごした柴犬と、現在飼育しているポメラニアンとでは年齢による変化の出方が異なると感じており、老犬期のケアには個体差が大きいと実感しています。生活環境を整えても夜泣きが続く場合や、痛みが疑われるサイン、認知機能の低下が疑われるサインがある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めにかかりつけの動物病院に相談してください。










